オーストリアのワインは美味しいのになぜ日本では珍しい存在なのか?
全然見かけませんが
最近、マルシェなどのイベントでお客様と直接お話ししながら販売する機会が増えてきました。
その場で「美味しい!」という感想をいただけるとやっぱり嬉しいですね。
一方で、
「オーストリアってワイン作っているのですか?」
「ニューワールド系ですか?」
「”ラリア”じゃなくて”リア”!?」
といったご質問もしばしばいただきます。
それもそのはず、大きなワインショップでもオーストリアワインを見かけることがほとんどありません。
あったとしても、ドイツワインの隣あたりにひっそり少量置いてある程度で。
なんだか、ドイツワインの”オマケ”のような扱いです。
国土が狭いので生産量が少ない、というのも一つの理由ですが、実はそれだけではないのです。

そもそも輸出量が少ない
まず挙げられるのが、これ。
オーストリアで造られたワインの約80%が、国内で消費されているという事実です。
日本ソムリエ協会の教本によると、2022年のオーストリアのワイン生産量は約250万ヘクトリットル。
(1ヘクトリットルは100リットル)
ちなみに、ブルゴーニュ地方(ボージョレ地区を含む)の生産量は約200万ヘクトリットルなので、それよりは多い計算になります。
ただ、単純に考えてみると、250万ヘクトリットルのうち、国内で消費されるのが200万ヘクトリットル。
輸出されるのは残りの50万ヘクトリットルだけです。
750mlのボトルに換算すると、約6,667万本。
個人でこの本数を飲むとなると相当な量ですが、ワイン産業全体として見ると、やはり輸出量は少ないと言えるでしょう。
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アジアへの輸出はごくわずか
さらには、全体の輸出量の中でアジア向けが占める割合は、実はほんのわずかなんです。
下の図をご覧ください。

こちらは、オーストリアワインマーケティング協会がまとめた2024年の輸出先のデータです。
一番多いのはドイツ、次いでアメリカ。
そして、ずっと下のほうに「アジア(Asien)」の文字が。
脚注から中国、韓国、日本、香港、シンガポールへの輸出をまとめた数字だということが分かります。
その割合、なんとたったの2.3%!
ボトルにすると153万本。
繰り返しますが、1カ国向けではなく4つの国と地域への輸出量の総計です。
少し古い資料ですが、「日本 :ブルゴーニュ/ Bourgogne ワインに忠実な市場」の記事を見ると、
2020年のブルゴーニュワインの対日輸出量はボトルにして727万本。
フランスの一生産地域から輸入する量よりも、ずっと少ないことがお分かりいただけるかと思います。
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2024年ビンテージはさらに希少に?
そろそろ、2024年ビンテージのオーストリアワインが店頭に並び始めている頃ではないでしょうか。
オーストリアワインマーケティング協会によると、2024年は「萌芽(ほうが)と開花が例年より早く、適度な雨があり、さらに夏の猛暑が続いた」ことで、収穫時期も早まったそうです。
ただ、その影響で多くの畑では果房(かぼう)の形成が不十分に。
つまり、ブドウの粒の数が少なかったり、小粒になってしまったのです。
そのため、全体としての収穫量は例年よりも約15%も減少したといいます。
粒が小さければ果汁も少なくなり、当然、搾れるワインの量も減ってしまいます。
でも、「果房の形成が不十分=品質の悪いブドウ」というわけではありませんので、ご安心を。
オーストリアワインマーケティング協会によると、
天候の結果、成熟が早まったため、糖分と酸のバランスのとれた比率を得るためには、このような早めの収穫が必要だったのです。
出典:オーストリアワインマーケティング協会HP:2024: 非常に早いヴィンテージ
とのこと。
収量は少なかったのですが、ブドウの品質には問題ないそうで。
特に、赤ワインは濃厚で熟したものが期待できるとのことで、本当に楽しみなです。
が、2024年ビンテージの輸出量は間違いなく少なくなります。
もしお店で2024年のラベルを見つけたら、ぜひチェックしてみてください。
今年だけの特別な味わいが、そこにあるかもしれません。
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