ワイン輸入:海外のワイナリーとのコミュニケーションは時期に注意しましょう
ワイナリーに作ってもらう書類もある
どうも、よしです。
酒類販売業免許を取得後、交渉中だったオーストリアの2つのワイナリーに発注し、7月末に無事に集荷され、現在は日本を目指す船の上にあります。
「ようやくここまで来れた」と思う間も無く、また新たな課題が浮上してきました。
それは、ワイナリーに書類作成を依頼すること。
JETROのホームページには、ワインを含むアルコール類の輸入に関して、食品衛生法上の手続きとして以下のように記載されています。
販売目的で酒類を輸入する場合(自身の経営するレストランで客に提供する場合も含む)、厚生労働省検疫所食品等輸入届出受付窓口に「食品等輸入届出書」と必要書類〔原材料、成分または製造工程等に関する説明書、衛生証明書(必要に応じて)、試験成績書(必要に応じて)〕を届け出る必要があります。審査の結果、規格基準や安全性の確認が必要と判断されたものは検査が実施されます。検疫所での審査や検査の結果、同法上問題がなければ、「食品等輸入届出済証」が発行され、それを税関への輸入申告時、通関書類とともに提出します。不適格と判断されたものは輸入できないため、輸入者は積戻しや廃棄等の措置を取ります。
JETROホームページ:防疫・投資相談Q&A アルコール飲料の輸入手続き
この中で、赤字のものはワイナリーからもらう必要があります。
今回の通関手続きは全て通関業者におませしていますが、必要書類に関するワイナリーとのやり取りは自分でやらなければなりません。
特に成分表(原材料を示すもの)と製造工程、原産国の公的機関による試験成績書は、必ず入手するように言われています。
この3種類の書類を見た時、試験成績書が一番の難関だろうと考えていました。
なぜなら、その他はワイナリー自ら作成できるものであり、フォーマットもなくそれほど難しくはない、
かつ、すでにあって然るべき書類だと思ったからです。
ところが・・・
一度に全ての書類が揃うとは限らない
ワインの集荷が7月末の場合、日本に到着するのは9月下旬から10月初旬頃。
その時期が近づくと、通関業者から必要書類の提出依頼があります。
今回はワイナリーとの交渉段階から、日本への輸入許可を取るためにそれらの書類が必要であること伝え、
さらには書類の一例も送付し、書類作成についてワイナリーからの同意を得ていました。
なので、入手するのはそれほど難しくはないだろう、とあまり心配していませんでした。
実際、2つのワイナリーのうちの一つは、試験成績書や成分表、製造工程を8月中に送ってくれましたので、
通関業者に送付して事前にチェックをしてもらうことができました。
しかし、もう一つのワイナリーは「いいよ、作って送るね!」と返信はあったものの、一向に来る気配がなく。
8月末頃に「お願いした書類をそろそろ送ってください」とリマインドメールを送ると、
「どんな書類でしたっけ?」
という返答。
まあ、海外相手のビジネスなので、こんなこともあるでしょう。
なので、再度必要な書類を伝え、改めて作成例も送付しました。
すると、数日でいくつかの書類がPDF形式で送られてきたのですが、
・赤ワインと白ワインの試験成績書はあるけどFrizzanteの試験成績書がない
・白ワインの製造工程はあるけど赤ワインがない
・成分表がない
と不完全なものでした。
仕方ないので、不足している書類を再度お願いするメールを送付しましたが・・・
収穫期に突入すると相手にしてくれない!
全く返信なし!
何度メールを送っても、です。
なぜか?
その理由は、「時期が悪かったから」に尽きます。
不完全ながらも書類が届いたのが9月初旬。
これは造り手さんが収穫期に入る時期。
そう、彼らにとって1年の中で最も忙しい時期です。
以前、ワイン輸入に関するセミナーに参加したとき、講師の方が、
「チリやアメリカのワインは工業なので、ビジネス上の付き合いはそれほど難しくはない。しかし、ヨーロッパはどこの国でもワインは農業。しかも家族経営が多く、収穫期になると家族総出で作業しているので、何回電話しても誰も出ないのが普通。」
と話していましたが、まさにそれですね。
それでも書類をなんとか入手!
とはいえ、「成分表や製造工程はすでにあるだろうから、何度かメールするうちに真っ先に届くだろう。」
と呑気に構えていました。
ところが、実際は試験成績書が先に届き、成分表と赤ワインの製造工程は送られてくる気配なし。
さらには、メールへの返信も途絶えてしまいました。
一方で、通関業者からは「事前にチェックしたいから早く書類を」と催促が。
さらにさらに悪いことに、オーストリアでは記録的な豪雨により、ワインの生産地では大きな水害が発生してしまいました。
幸い、ワイナリーが被害を受けることはなかったのですが、ただでさえ、収穫期の雨はワイン造りにとって大敵なのに、よりによって災害級の豪雨。
後から聞いたのですが、私が何度もメールを送っていた頃、オーストリアでは豪雨災害への警報が出たため、
多くのワイナリーは、「雨が降る前に」と家族総出で夜通し葡萄を収穫していたそです。
そんなことも知らずに・・・
とは思いますが、こちらは7月末からお願いしていたこと。
もっと早く対応してくれていれば〜
と言いたい気持ちもありましたが、
感動的に美味しいワインは、造り手さんあってのもの。
そしてワインの輸入は造り手さんとインポーターの共同作業。
相手が苦しい時に、ただ「書類を作ってくれ」だけではダメだと考え、別の方法に変更しました。
それは、こちらで書類を作り、相手に確認してもらうというもの。
先に送られていた別のワイナリーの成分表と製造工程を参考に、Wordで一案を作成。
そして、
「忙しいと思うのでこちらで一案を作成しました。内容に誤りがあれば修正し、あなたの住所と署名を入れ、PDF形式で返送してね。」
とメールに添付して送付。
さらには、いつものメールだけではなく、ワイナリーのホームページにある「コンタクト」からも同様に依頼。
すると、すぐに来ました。返信が。
こちらが送った一案を修正し、ワイナリーの住所とロゴ入り(署名を勘違い?)のPDFの書類も添付されていました。
内容は通関業者にチェックしてもらうとして、とりあえずは必要な書類を揃えることができました。
まとめ
今回の件で、ワインの到着が収穫期と被らないようにするということを学びました。
集荷から日本への到着まで概ね2ヶ月かかりますので、9月〜10月に書類などの各種調整を行わなくてもいいように、
集荷の時期を逆算して決めるべきです。
なので、1月〜3月頃に集荷するように設定しておけば、間違いないのではないでしょうか。
また、どうしても収穫期と被ってしまったら、提出してほしい書類の一案を作成して、それを修正してもらうようにすれば、
造り手さんの手を煩わすことが少なくなるので良いかもしれません。
今回、私が輸入するワインは、アメリカなどへの輸出実績はありますが日本は初めて。
日本は他国に比べて、通関時に多くの書類や情報を要求するようなので、そのことも事前にワイナリーに伝えて理解してもらうことも重要です。
さて、これで一通りの書類は準備できましたが、通関業者から早速さまざまな指摘と修正要求が^^;
これについてはまた別記事でお伝えしますね。