ワイン輸入:ワインが日本に到着してから販売できるようになるまでの道のり(その1)
ワインが日本に到着してからが大変
どうも、よしです。
7月30日にオーストリアで集荷されたワインが、はるばる喜望峰周りの航路を経て、10月7日に東京港に到着地ました。
当初の入港予定が9月28日。
そこから9日遅れの到着となりました。
ちなみに、現在はスエズ運河周辺の情勢がよくないので、ヨーロッパからの貨物船のほとんどは喜望峰周りの航路となるそうで。
燃料代高騰に加え遠回りの航路。
輸送コストが上がり、ワインの価格も上がってしまいます。
ワインの輸入を通じて平和の大切さを実感しました。
閑話休題
ワインの輸入において、貨物船に載せるまではスムーズなのですが、日本に到着前後からいろいろと処置しなければならないことがあります。
なお、この記事を執筆している現在(10月26日)、まだ通関が切れていない(輸入の許可が下りていない)という状態。
輸入ワインが内国貨物になるまで何があるのか?
これはなかなか情報がないので、私自身が体験したことをみなさんにお伝えしようと思います。
ワインの輸入を検討している方のご参考になれば幸いです。
貨物船が到着する前にすべきこと
入港日を通関業者と倉庫業者に伝える
ワインを載せた貨物船がどのあたりにあって、いつ東京港に入港するのかは、フォワーダーのサイトで確認できます。
地図上に貨物船の位置が表示されるので、見ているとワクワクしますよ。
入港予定日は出港から数日後に分かりますが、その時点で通関業者と倉庫業者に伝えます。
これは特に両業者から言われていたことではないのですが、伝えておけば、入港前後に必要な手続きなどを前もって教えてもらえるので、余裕を持って準備ができます。
もちろん、入港予定日が変更された場合は、それを知った時点で連絡することも忘れずに。
通関業者に提出する書類を入手
通関業者に入港予定日を伝えると、通関業務の委任状の提出を求められます。
これはフォーマットをもらえるので、それに必要事項を記載するだけで特に問題ありません。
このほかに、アライバルノーティス又はINVOICE、B/L(船荷証券)、デリバリーオーダーを提出する必要があります。
これらの書類は全てフォワーダーより入手します。
B/Lは入港2週間ほど前に自動的に送られてきます。
そのほかの書類は、海上運賃の支払い後に、同じくフォワーダーより自動的に送られてきます。
なお、私が依頼したフォワーダーの場合は、アライバルノーティス兼INVOICEという扱いでした。
ちなみに、デリバリーオーダーは船社(実際に貨物船を持っている会社)が発行するものですが、フォワーダー経由で入手できるので心配ありません。
これらの書類は全てPDFで送られてくるので、これを通関業者にそのままメールで送付すればOKです。
フォワーダーに海上運賃を支払うタイミングと見積もりとの差
海上運賃を支払うタイミングは概ね入港の1週間前です。
今回の場合、5日前に請求が届き、支払いをしました。
で、一番ドキドキしたのは当初の見積もりとの差。
海上運賃の見積もりは、ワインの集荷前にいただくことができますが、運賃が確定するのは請求書が来たときなんです。
「入港が9日遅れだし、見積もりより高かったらどうしよう」
とかなり心配しましたが、実際は見積もりよりも数万円安くなっていました。
これは、おそらく・・・ですが、見積もりでは為替レートをかなり高めの超円安で算出していたからだと思います。
為替レートによっては見積以上の金額になることもあるので、今回はラッキーでした。
入庫申請をする
ワインが到着する前に、入庫申請をするように倉庫業者から依頼がきます。
私が契約した業者の場合、自社製のオンラインサービスを使って申請するようになっていました。
オンラインサービスには、契約時に発行されたIDとパスワードでログインし、あとは記載に従って入力するだけなのでとても簡単。
入力する情報としては、商品名(アルファベットとカタカナ)、商品写真、入庫本数、仕入れ価格、販売価格など。
この中で、商品写真はワイナリーから許可を頂いて、ホームページにある商品の写真をダウンロードして貼り付けました。
また、仕入れ価格と販売価格は、この時点では決定していなかったのですが、いつでも修正できるので仮の価格を入力しました。
全ての入力が終わったら、倉庫業者の担当の方に「入力しましたっ!」と一報入れておきましょう。
そうすると、内容について記載漏れがないかチェックしてくれます。
ラベルの作成と税関への申請代行を依頼する
輸入したワインには、原産国や成分、輸入元を記載したラベルを貼り付けることが義務付けられています。
ネットや本で調べると、通関時に貼り付けられている必要があるという記載を見かけますが、ワイナリーで貼って貰えないことが多く、
また、保税倉庫にある間は、私たち輸入者が商品を触ることはできません。
なので、事前にラベルのサンプルを作成して税関に提出し、承認をもらっておく必要があります。
そうすれば、通関後、保管用の倉庫に移送された後でラベルの貼り付けができます。
私が契約している倉庫業者には、ラベルの作成から税関への申請、貼り付けまで行ってくれるサービスがあるので、今回はそちらに依頼することにしました。
依頼にあたっては、ラベルに記載する情報を提供し、それをもとに作成したサンプルをチェックします。
サンプルの内容がOKであれば、税関への申請代行を作成しなければなりませんが、これもフォーマットがあり、社名や住所など、基本的なことを指定された場所に記入すれば良いだけなので簡単です。
なお、この申請書はWordで作成できますが、押印した原本を倉庫業者に郵送しなければならない点は注意が必要です。
貨物船到着から保税倉庫に輸送されるまで
貨物船が入港したのが10月7日。
私が輸入したワインが保税倉庫に入庫されたのは10月15日。
入港から入庫まで1週間ちょっとかかっていますが、この間に何が行われているのか、ご参考までに記載しておきます。
貨物船が入港してからデバン(デバンニング)という作業が行われます。
これは貨物船からクレーンでコンテナを陸上げし、それを開封して中の荷物を仕分ける作業のことです。
貨物船にはコンテナが大量に積載されているため、荷下ろしには時間がかかり、また、混載されているコンテナの場合は仕分けも大変です。
さらには、この時に商品の破損がないよう慎重に行われるとのことなので、貨物の量が多いとかなり時間がかかることもあります。
早い時は3日くらいで完了するそうですが、今回は貨物の量が多かったのでしょう。
保税倉庫入庫からの長い闘いの始まり
こうして保税倉庫に入庫されたのですが、ここから内国貨物になるまでが本当の闘い。
しかも、場合によっては半年程度続くこともあるのだとか。
この記事のタイトルに「その1」と書いたのはそのためです。
果たして無事に通関が切れるまでどんなことがあり、そしてどの程度かかるのか?
このシリーズでお伝えしていきます。
でも、願わくば次回の記事が本シリーズの最終回であってほしいです・・・
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